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最近見た映画の中では、
GOOD BYE LENIN! (グッバイレーニン)が最も面白かった。
〜シチュエーション〜 東西統合へ向かう激動のドイツ。その中で生きる母と息子、娘の物語。 母は体制派。父は亡命。息子は反体制から無政府主義(に私には見えた)。娘は流れのままに。 〜物語〜 夫が亡命した後(女と逃げたという理由)体制を指示する事で、アイデンティティを保とうとする母が心臓発作により倒れる。植物人間となっている間に、東西統合。 そして母の意識は戻るが、ショックを与えたら、再び発作を起こし、次は帰らぬ人となるだろう、との医者の言葉。そして息子は統合前の状態に戻し、母に変化というショックを与えぬよう、皆をまきこんでいく。 〜感銘を受けた理由〜 第一には、脚本構成能力。 よく出来てる、と思った構成について私なりの分析。 1、キャラクター達に巻き起こる日常の出来事が、全てタイミングのずれからきている事。 ・反体制のデモに参加する息子が、捕まる瞬間を、たまたま政府のパーテイーに向かう途中に目撃して心臓発作を起こす母。 ・父の亡命が、実は母と示し合わせてのものだったという事。しかし、怖くなった母は、亡命する事が出来なくなる。父の手紙は封印されてしまう。 ・統合後、紙幣の流通システム変化に伴い、両替をしなくてはならず、息子は必死で母の財産を探すが、見つからず、母の記憶がはっきりして、聞き出した瞬間、慌てて銀行に行くが、その時には両替の期間が終了していて、母の40年間の資産は紙屑となる。 →こういったタイミングのずれからくるものが次に書く逆行のシステムへと流れをつなげる。 2、逆行している二つの事象。 ・母の心臓発作による意識不明、という1人の人間の停滞 ←→ベルリンの壁崩壊と統合という変化。 ←→活気に満ちる世界。 →逆行している二つを息子がどうにかまとめようとでっちあげのニュースを作る事により、退行と進歩の違いについて考え始める。 3、退行と進歩の違いとは何か。 ・統合前の状態に生きる母の行動(人民の為の請願書等) →皆が可哀想に思う。=現状、情報を知らない事を哀れと感じる人の思い。それはエゴとも見えるが、教えないという点で、選択の余地を与えていない息子もエゴに見える。全ては人のエゴで情報の流通が出来ている、という事が間接的に見えてくる。 ・息子の作ったでっちあげのニュースで東西統合の可能性を見せた時の母の台詞。 「世の中は進んでいるのに、私は寝てられないわ。」 →進歩欲求のある人間だ、という事がすごくよく分かる。しかし、周囲の状況が変わっただけで、国から勲章をもらっていたような母が、もの凄く間抜けで哀れに見える。 これも、上述同様、自分を取り巻く社会状況が変化すればそれは進歩。そして知らずにいる事は間抜け。 最終的に、息子はでっちあげニュースの中で、新たな統合理由を見つける。それは、「資本主義の競争社会に疲れる事だけでなく、共産、資本の功罪を知った上で、新たなドイツを作りましょう」というもの。どちらかがのみこまれる「崩壊」ではなく、弁証法的に、新しい価値を見つけましょうよ、的な感じ。 この結末により、進歩が善だという考えがなくなっていく。退行と停滞を知ったからこそ、慌ただしい進歩について、改めて考え直す事ができた、と。 ラストで、このでっちあげニュースを見た母親は、何とも言えない表情で息子を見つめる。この表情により、母親はそのニュースをでっちあげなのかな、、と気づいているんじゃないか、とも思わされる。 全ての日常は、誰かしらのエゴで成立しているが、それが相手への思いやりである以上、何か、新しいものがそこにはうまれるんじゃないか、、という、一見、ヒューマニズムに感じるけど、もの凄く現代思想的な、、克服できない信念対立への挑戦を感じた映画でした。 長くなりましたが。。 演出 智恵
by tensaihotel
| 2006-02-15 15:56
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